【ネタバレ】ニューダンガンロンパV3考察

ニューダンガンロンパV3を今更やったので考察します。

【ネタバレ】白銀つむぎの考察

■キャラクターとしての感想


白銀つむぎは首謀者なのでマザーモノクマからほかの人の行動を間接的に知ることができたとはいえ、最初から最後まできちんとコロシアイに参加しているところが好きです。

目立たず、裁判で活躍せず、ヘイトを溜めず、多数派に属するものの特定の人間と仲良くしすぎないというのが52作で培われた生き残るコツなのでしょう。

しかし、それでも普通に危険はあったと思います。特に三章とか。

というか、一章で誰かを適当に殺して初回特典で外に出た振りをして隠れて首謀者やっていてもよかったのに……。

六章での命を懸けているというのは嘘偽りない言葉だったのでしょう。自分が死ぬルートを普通に選んでますし。

また、六章で最原の絆のチカラが白銀でも上昇するところを見ると、
首謀者と暴かれるまでは、コロシアイの一参加者として参加していたのだと思います。
そういう、ほとんど頭おかしいところも好きです。

 

■白銀つむぎの立場は?


一応、53作目については彼女が、世界観、設定、キャラクター、オシオキなんかを作っていたみたいですが、

モノクマ
「世界のみんなが求めるからボクはこれを作ったんだ! 今更、偽善者面なんて許さないよ!」
と言っているので、白銀は設定等を作っただけで(多分、53作目のみかな?)、
リアルフィクションという舞台はモノクマである誰かが作っていたと思われます。
そうなると、やはり白銀は思い出しライトセットアップの表記通りにゲームマスターだったのでしょう。

なぜなら、白銀にできることが、
・思い出しライトの作成
モノクマの作成
・マザーモノクマから情報の入手
の三つだからです。

・マザーモノクマから情報の入手
についてはコロシアイにおけるアドバンテージになりますが、
・思い出しライトの作成
モノクマの作成
は、やらなきゃならないこと(労力)で、アドバンテージではありません。
コロシアイが自分に有利になるような記憶は、
思い出しライトのセットアップが選択式のため植え付けられないし、
モノクマを補充しても、モノクマは自分を助けてはくれないからです。

ここでWikipediaテーブルトークRPGにおけるゲームマスターを引用します。

テーブルトークRPGTRPG)におけるゲームマスターは、参加者の1人でありながら、「ゲームの進行を取り仕切る」という映画の総監督および審判のような役回りになる。一般的にゲームマスターは、ゲームの筋道(シナリオ)を用意し、プレイヤーをまとめつつ、ルールを運用し、ゲームを展開する。

ゲームの筋道(シナリオ)の用意とは、当日のゲームプレイにおいてプレイヤーキャラクターが体験する物語・舞台・遭遇などを包括的にまとめた資料を準備することである。シナリオは市販されているものを使うこともできるが、ゲームマスターによる自作も可能である。むしろ、シナリオを自由に自作できることがテーブルトークRPGの特徴であるとも言える。

同じゲームの参加者であるプレイヤーと比較すると、「事前の準備」「ゲームの進行」「各プレイヤーへの配慮」等、その労力は大きい。このような問題を緩和する試みとして、ゲームマスターにはその労力に見合った報酬(多くの場合、プレイヤーとなった際に利用できる経験点)が与えられる、というシステムも日本には存在する(主としてF.E.A.R.の製品に見られる)。

また、ゲームマスターの進行手法(マスタリングと呼ぶ)は、上のように自己の裁量で行うところが多いため、個人差が大きい。

コロシアイの準備をして、筋道を考え、ゲームの進行という労力の対価として、
マザーモノクマから情報を得ていると考えると、まさにゲームマスターの立ち回りです。

ゲームマスターWikipediaの抜粋にもあるように参加者の一人です。
つまり、彼女は最後まで生き残りはしましたが、決して殺されることのない聖域ではなかったのでしょう。

だからこそ、六章で最原の絆のチカラが上昇したのでしょう。
首謀者や黒幕の間に絆があったりするのはなんか変ですし。

そうすると、白銀が天海を殺したことについて、少し見方が変わってくると思います。
あれは赤松の殺害計画の補完というよりは、
自分が生き残るための行動だったんじゃないでしょうか?

この行動に関して、江ノ島コスプレの白銀が
「あぁ、それに関しては自分でも失敗したと思ってる。ほんと、ゴメンね。」
と言っています。
しかし、どう失敗したかは語っていません。
話の流れ的にはコロシアイのルールを遵守しない行動だったので、失敗だったと取れますが、
放置したら全滅という状況において、コロシアイを進めるのは、
ゲームマスターとしての行動としては間違っているとは思えません。

続きまして、殺害のときのことを考えてみますと、
白銀が天海殺害にかけられる時間は、カメラのインターバルである三十秒でした。
必要なのは、砲丸を振り下ろす時間+生存者特典を奪う時間+図書室出入りの時間
なので、間に合わなくはないでしょう。

しかし、これは赤松の計画の成否を確かめてから殺すには時間不足です。
砲丸の落下を見届けてから(成否の状況をマザーモノクマに聞いてから)
殺しに行くとカメラのインターバル的に間に合いません。

つまり、赤松の計画を補完するというより、天海を殺す方に若干傾いているように見えます。
何より、あの時点ではまだタイムリミットまで一時間ありました。
ゲームマスターとして行動するのは時期尚早でしょう。
一応、生存者特典を奪うためとりあえず行ったという可能性はありますが、
生存者特典の情報はそこまで有用ではなく、いずれ分かる情報なので、可能性は低いでしょう。
何よりあの情報は天海が共有することを前提として渡されていたわけですし。

これらのことから天海の殺害は、やはり自分が生き残るための行動だったと思われます。
ただ、一方的に有利な首謀者ではないとすると、問題になってくるのが白銀の目的です。

 

■白銀の目的・目標は?


白銀の目的は首謀者と指摘されて負けること以外には考えられません。

死体やマジックショーの残骸の処理はできるのに、砲丸と生存者特典を処理していなかったり、希望ヶ峰学園について思い出す記憶を史実とずらしていたりと、
どう考えても、首謀者であることを暴かれることを前提としているとしか思えません。
6章前半でまったく反論しなかったのも、首謀者指摘に展開を持っていくためでしょう。

更に、今回はキーボがいます。アンケートで動く超高校級の希望ロボットです。
これは最早絶対に負けようとしているとしか思えません。

一応、外の世界の台詞から判断すると、過去作には、希望ルートや絶望ルートのようなものがあったようですが、
今回に限っては希望ルートしか考えていなかったように思えます。
外の世界も希望ルートの方が好きそうでしたし。

これらのことから考えると、最後に首謀者としてクロと指摘されて、
次回の首謀者になることが目的だったのでしょう。
ほかの参加者は最後の二人になるかクロで勝つかの二つ勝利ルートがあるのに、
白銀は一つしか勝利ルートがなく、更に最終局面でしか機能しない勝利ルートなので、
他の参加者より、実はかなり不利だったのではないかなと思います。

それでも参加したのはダンガンロンパを愛していたからなのでしょう。
普通、作品を愛しているのなら、生きて長くその作品を楽しみたいはずなのに、
彼女は、命を捨ててでも貢献したいと思えるほどにダンガンロンパを愛していたのでしょう。
重い。


■白銀つむぎはコスプレイヤー? 模倣犯


彼女は最後の最後に模倣犯コスプレイヤー)という表現を使っていますが、
これに関しては、どちらも正しいけど、どちらかと言えば、模倣犯寄りだと思っています。

「ほら、最近はキャラクターになりきる事よりも、コスプレする自分を前にだしてくるレイヤーが多くて。」
「そもそも、コスプレって、本来はフィクション作品でやるものだからね! まぁ、最近はあいまいになっちゃってるけど、わたしは本当にそういうのが許せなくって…許せないあまりに生理的に無理なんだよ。リアルの変装をすると、キモいブツブツが出ちゃうの。あ、覚えててくれたんだね。うん、あれは嘘じゃなくて本当だよ。」
「わたしは世界そのものをコスプレする事ができるんだよ。」
「世界を丸ごとダンガンロンパにコスプレさせてたんすー!」
「あなたのオーディションテープを見た時に、ふと閃いたんだよね。誰よりも弱い“超高校級の探偵”…それが成長していくのもなかなか面白いかもって。」

オリジナルキャラクターを出しちゃうコスプレイヤーというのがあり得ないと思います。
版権もののコスプレしているのに、そこにオリジナルキャラって「誰だよ!?」って話ですし。
世界をダンガンロンパにコスプレさせるというなら今回の設定ですと、
1・2・3・絶対絶望少女のキャラを16人集めてコロシアイさせるのが筋でしょう。
天海は一応、前作のキャラということになるでしょうが、残り15人オリジナルって……。
舞台設定しかあってません。
これは、ときどき白銀の口にしていたコスプレ論に反するでしょう。

実際にコスプレをしていたのでコスプレイヤーではあると思いますが、それはおまけで
やっぱり模倣犯なのでしょう。

もしかすると、コスプレイヤーの才能は他の参加者と同じくあとから手に入れたものなのかも。

 

江ノ島盾子の模倣? それともほかの模倣?


多分、ほかの模倣でしょう。
舞台設定や話の流れ的に類似点はありますが、模倣と言えるほどコピーの完成度は高くないと思います。
思い出しライトを使えばもっと、模倣できたはずなので。

それに、
「最後の最後に計画が失敗するっていう結末までしっかり“模倣”できたんだから…」
というところに引っ掛かります。
江ノ島盾子の最後は失敗といえば、失敗ですが……種類が違うと思うんですよね。
結局、AIとして生き残っていたわけだし。
それにやっぱり模倣なら絶望が希望に負ける展開でないと違うと思います。

ただ、江ノ島盾子の超高校級の分析力は相手の才能をコピーできるので、
今回の才能の記憶を植え付けるシステムやコスプレとちょっと似てるとは思います。

 

■その他


「このキャラは“嘘”だからさ!」
と言っていましたが、白銀のときは目にV3もないし、焦るとコスプレを忘れるので、
やはり、白銀というコスプレをしているということではないのでしょう。

 

ということで、ダンガンロンパV3の考察を終わりたいと思います。
考えただけで、結論という結論が出ているものは、ほとんどないですが、
何か確かなことが分かる作品ではないので……。
V3も面白かったなー。特に6章の再審。熱い。
もう、終わりなのかなー。

【ネタバレ】細かな疑問とか

■四章で入間が苦しんでいたのは?
あのシステムで接続時に体が動いちゃうのは変。
プログラム上での動作が現実に反映されたら、みんな椅子から落ちそう。

オーディンションで最原や百田がクロになりたがっていたのは?
お金と名誉が手に入るらしいですが……
なんとなく、チームダンガンロンパに入社できるのかな? とか思ったり。

■屍者の書
思い出しライトの項目にはなかったですが
代わりの人間を上手く記憶操作して参加させる予定だったのでしょうか?

■才能の植え付けについて
知識がメインの才能については問題ないでしょう。
運動がメインの才能もある程度の身体能力があれば、
体の動かし方の記憶があれば、なんとかなりそう。
(体が慣れていないので疲れそうですが……)
折角のフィジカルエリートのゴン太を知識系の才能にしたのはなんでだろう?
ゴン太のフィジカルで暗殺者とかだと十四人抜きとかできそうだからかな?

■1・2の記憶をどうして実際にあったことだと思い込んだ?
最原の部屋にあったトリック集では初期のゲームのトリックはイラストです。
つまり、実写ゲームだったという設定でもなさそう。
まぁ、ぼんやりとした記憶でしたら、絵を実際にあったことと思ったりもするのかな?

■エピローグの最後に出てくる、チームダンガンロンパのロゴで囲まれた球体
なんか、これって現実の世界にあるものっぽくないですよね。
どういう意味なんだろうなぁ。

■才囚学園が工事中だったり植物の処理が終わってなかったのは?
単にコールドスリープ設定の補強要素なのかな?

■図書室の本が読めない言語のものばっかりだったのは?
2のオマージュかなー?
キラキラちゃんについて書かれた本があったりして。

紅鮭団で白銀と最原が同じアニメの記憶を持っていたのは?
わざわざ、そういう細かい知識まで植え付けていたのかな?
過去の参加者の記憶をそのまま移植とかなら分かりやすいけど……
白銀がキャラを作ったと言っていたので、それはないでしょう。
基礎知識パックみたいのがあるのかな?

■夜空の星が参加者達が住んでいたところと違ったのは?
ゴン太が途中で、夜空の星が違うと気付いていましたが、あれはなんの伏線だろう……?
宇宙船の伏線だとしたら、夜空の星もそのままにしそうなのに。
そこから違和感を覚えて、首謀者を暴いて、希望ルートか絶望ルートに誘い込むトラップの一つとか?

■春川に百田への恋心を設定した理由は?
普通に考えたら、参加者の感情の揺れ動きこそが視聴者の楽しみだと思うのだけど……。
百田の病気と合わせて悲劇のヒロインを作りたかったのかな?
それによって春川が暴走したらコロシアイが起きやすそうだし。
ただ……時限式なのであまりにも遅い気が。

■キーボのパワーアップパーツをあんなに用意していたのは?
どう転んでもいい結果にならなさそう。
「あの時は視聴者からのクレームも多くて、ホント、困ったけど…」
って言われてるし。
でもタイミング的に白銀がクレーム処理なんてできない気が。
ずっと校舎内を駆けずり回ってたのだし……。

■その他、気になった台詞とか。

転子
「ま、まぁ…ああいう文系男死は臆病ですから、どうせ何もできやしないに決まっていますよ…」
と言った相手に殺されてしまった転子ちゃん……。

真宮寺
「僕って…いかにも殺人に手を染めそうでしョ?見た目と今までの言動からしてサ。」

白銀
「ふふふ…知らないよ?わたしの正体を見た代償は高くつくよ?」
プロローグの竜の前にいたときの台詞といい時々自己顕示欲強い。

モノクマ
「“あの”モノクマーズはね。こいつらは“おニュー”なモノクマーズなんだよ。」
「まぁ、リセットされているせいで前の記憶もないから、まったく別の存在とも言えるんだけど…」
「オマエラも同じように、代えはいくらでもいるんだよ。モノクマーズみたいにリサイクルはできないにしても…」
「このコロシアイの参加者なら、別の誰かを探せばいいだけなんだからさ。」
タイトルにニューがついていることを考えると、
参加者達も過去の参加者の記憶を植え付けられた人間だと、この台詞に意味が出てくるんだよなー。
屍者の書とも繋がるし。
でも、白銀がオーディション見て作ったって言ってるしなー……。

最原
「僕は…どうしても信じられないんだ。僕らが自分からこのコロシアイに参加したなんてさ。」
うーん……これだと、コロシアイに参加したくない人がコロシアイを否定しただけなんだよなぁ……。
最初の気持ちすら嘘で真逆な存在が否定するからこそ、ではないかなぁと思うんだけどなぁ……。

 

次回、白銀つむぎの考察で最後にします。

 

【ネタバレ】六章から考えるプロローグと天海蘭太郎

六章で明かされる情報とプロローグは大きく違っています。
ダンガンロンパのオーディションに受かって喜ぶシーンもなければ
記憶を植え付けられる経緯も違います。
これについて考察します。

■超高校級の衣装を与えられた直後とは?


白銀つむぎのコスプレの辺古山が
「あれは確か…お前達が超高校級の衣装を与えられた直後だったな。」
なんとなく、これをプロローグの前半でモノクマーズに着替えさせられたところだと思ってしまいますが…
多分、違うと思います。
何故なら、プロローグが始まるのがアバンムービーの後だからです。

アバンムービーは、いわば外の世界の人間が見るダンガンロンパV3のオープニングです。
ムービーの最後には今回の参加者の16人が出てきます。
ということは、あのプロローグのシーンの前にアバンムービーの撮影が行われていたわけです。

つまり、ここで指している衣装を与えられた直後はプロローグのことではなく、
それより前の出来事なわけです。

アバンムービーでは参加者の顔は出てきませんが、
外の世界の人間に、衣装を着た偽物が出てくるムービーを見せるとは考えられないので、
やはり、衣装を与えられたのはプロローグより前でしょう。

ただ、モノスケとモノキッドだけはプロローグと同じ台詞を言っているのは気になります。


■プロローグの参加者たちはどういう状態?


以前、思い出しライトを植え付けた記憶を
『植え付けたあとに封印しておいた記憶を思い出させる装置』
と考察しました。

これを考慮すると、プロローグの参加者達は、
一度植え付けた“超高校級”の記憶を封印され、
“超高校級狩り”から逃げるために一般人になった記憶を思い出している状態。
なのではないでしょうか?

モノクマーズに対する微妙な反応も、
“超高校級狩り”から逃げるために一般人になった状態なら納得です。
参加者達は未来機関が絶望に勝利したという記憶はあるので、
コロシアイやモノクマは多少知っているけれど、モノクマーズは知らない状態です。
「けど、動くヌイグルミって言えばさ…」
「しかも、“モノクマーズ”と名乗っていたぜ。」
という台詞とも合致すると思います。

モノタロウも
「あのね、設定では…“超高校級狩り”のせいなんだよ。」
「キサマラは“超高校級狩り”のせいで記憶を失って、まったくの別人になっちゃったんだ。」
と言っています。

ここから考えると、思い出しライトの記憶を植え付けは段階を踏まないとならないのでしょう。
V3では実際の記憶を失ったあと、更に設定でも記憶を失う設定になって、
そのまた更に、コロシアイ開始時に、記憶を失ってたときの記憶も失う設定と、
記憶喪失についてこんがらがってます。
だから、モノクマーズも色々段取りをミスっていたのでしょう。

もし、記憶の植え付けが一段階しかなければミスっている意味が分からないので。
記憶を失ったけど、記憶を思い出した記憶をそのまま植え付ければいいだけなので。


■天海の台詞の意味は? 天海の状態は? その他天海について色々。

・コロシアイだということをすぐに分かった天海

「いや、多分これで揃ったんじゃないっすか。これが“俺の想像通りの事態”ならね。」
「これって、やっぱり…俺の“想像通りの事態”だったみたいっす。」

この台詞から天海が他の参加者とは立ち位置が違うということが分かります。
多分、これは“超高校級の生存者”としての台詞でしょう。
しかし、この台詞言う意味がまったくありません。
コロシアイで生き残るにあたってプラスになる言葉ではありません。
最終的に二人までしか卒業できないコロシアイにおいて、
前回のコロシアイで、ラストの学級裁判まで生き残ったやつなんて、経験値的にも強いに決まってます。
パイ確保のため逆に狙われかねません。“超高校級の生存者”らしからぬ発言です。

では、なぜ天海はこんなことを言ったのでしょう?
六章のビデオレターで天海は、
「これはキミ自身が望んだコロシアイっす。だから、絶対に勝たないとダメっすよ。」
「…絶対にね。」
と、言っています。

これらから考えるに、天海の勝利は生き残ることではなかったのではないでしょうか?

最原は天海について、
「きっと以前のコロシアイでも似たような展開があって、彼はそこで僕らと同じような選択をせまられて…」
「そして、自ら犠牲になる事を名乗り出て、その結果、2回目のコロシアイに参加したんだ。」
と推理しています。

つまり、天海は漫然とコロシアイをして最後のクロになったわけではなく、
今回の裁判と同じような展開でクロになったのでしょう。
しかし、そうなると、「望んだコロシアイ」というのに引っ掛かります。
六章で最原たちが途中まで考えていた、
誰かを犠牲にして、誰かを卒業させるという考えのもとクロになったとすると、、
望んだコロシアイというよりは、仕方なく再度参加することになったコロシアイです。
しかも、自ら犠牲になった天海が新しい犠牲者出るコロシアイを望みはしないでしょう。

つまり、この場合の「絶対に勝つ」は生き残ることではなく、
首謀者や黒幕を倒すことなのでしょう。
だから、信頼できる人間を見つけるためにも少々情報開示をしたのではないでしょうか。

生存者特典のモノパッドのメッセージにも信頼できる人間とだけ情報共有しろとあったので、
信頼できる人間を見つけることこそが、勝利の鍵だと思っていたのでしょう。


・二つめの謎の台詞。
「けど、誰の仕業なんすか? どうして、こんなふざけた真似事を――」

ふざけた真似事について色々考えたのですが、どうもよく分かりません。
エグイサルで追い立てたことを指しているってことでいいのですかね?

【ネタバレ】V3各キャラクターの感想

考察ではないですが、各キャラの感想。王馬小吉と白銀つむぎは個別記事で。

■赤松 楓
二周目で一番印象が変わった人物。

一周目のときは、空回りはしたものの優しい人間みたいなイメージだったが
二周目だと割とクズだなという印象に。

首謀者ではない天海を殺してしまったあとも、学級裁判で首謀者を見つけさえすれば、
ほかの人間に許してもらえるし、助かると考えていたみたいだし。
結果的に周りの人間が許してくれるのならば、いいのだが、
それを最初から期待しているのはどうかと思う。
あんなにいいこと言っていた癖に、関係ない奴殺して、
その上でそういう思考ができるのはちょっと怖い。

学級裁判終了後
「みんな、目の前で人を殺した女の子なんかと友達になろうとは思えないでしょ?」
と言っていたが、この発言は首謀者を殺しただけではなく、天海を殺した、ということも入っていたのかもしれない。
更に、通風口のことを知る前に、とりあえず砲丸を持っておくところも殺意極まっている。他の道具ではなく、砲丸って……。

 

■天海 蘭太郎
……キャラクターとしての印象は特にないです。
ただ、絶望のダンジョン モノクマの試練ではお世話になりました。
苗木、狛枝、天海、戦刃が最終パーティだった。
むくろがURだと、ダンジョンでは、ちゃんとむくろのドット絵になるのが良かった。
むくろほとんど出てこないけど、大好きなんだよなぁ……。
2だと小泉が好き。もしかしたら、そばかすが好きなのかも。
最早、天海の感想じゃない。

 

■入間 美兎
好き。
徹頭徹尾メンタルが弱かった。
多分、横柄な態度や下ネタがないとまともに他人と喋れないのだろう。
下ネタで返されると返せないあたり、下ネタが好きなわけでもなさそうだし。
ほんとたまにだけど、素の言葉が出るときも可愛い。
五章の「だ、だから…やるなら勝手にやって。」とか。
あと死んだ人間も酷い呼び方で呼ぶのは発明家だからかなーと思っています。
生前に行ったこと(発明)が重要で、それは死んでも残るものなので。
そういう点での生死の線引きをしてないのかな、と。

 

■キーボ
ロボット差別の下りは面白いけど、キャラクターとしての印象は特にないです。
やはり、天海と同じく舞台装置という印象。

 

■獄原 ゴン太
正確には、ゴン太の感想ではないけど、アルターゴン太は同時にオシオキじゃなくて、
アルターエゴのショベルオマージュ入れたらよかったんじゃないかなぁと思ったり。
首謀者は赤松の双子とか5章のオシオキとかで、無印匂わせてたので……。
もっとも、初見のプレイヤーにとっては、意味のない伏線となってしまうので、
微妙なところではありますが。

 

■最原 終一
「誰よりも弱い“超高校級の探偵”」と、白銀に言われていますが、
歴代主人公の中では一番性能が高そう。
少なくとも学級裁判での性能は抜群。
嘘つくし、霧切、七海みたいなサポートいなくても乗り切るし。
しかし、もし2-5の裁判に参加していたら間違いそう。

 

■真宮寺 是清
首謀者はなぜ、こいつをあの人類最後の生き残りという設定の中に放り込んだのだろう……。
人類最後の16人という設定を使うなら、絶対に入れてはいけないタイプの人間なのに。
女だけ殺しまくるやつなんていたら、その設定が台無しになっちゃうよ……だからこそなのかもだけど。

 

茶柱 転子
いい子。でも、いい子なだけだった。

 

■東条 斬美
彼女が、まだ高校生だからこその浅薄な考えなのだろうが、
これから一国を担おうというときに、
十三人の高校生を自分が助かるためだけに殺して(裁判勝利でのオシオキ含む)
外に出ようとするのはいかがなものか。
せめて、自分の動機ビデオを他の参加者に見せ、
外に出させてくれと頼むべきだったのではないだろうか。

メイドとしての才能のせいかもだけど、
あの状況でも自分としての考えを言わないところは、あまり好きではない。
依頼されているから外に出なければならない、だけではなく、
何か一つ、本人の気持ちから産み出された理由があれば、イメージが変わったかも。

 

■春川 魔姫
キレて髪がぶわってなってる立ち絵が好き。面積大きいし。
キャラとしては悩ましい。好きな面と嫌いな面が同じくらいずつある。
五章はちょっと突っ走りすぎたったかなぁとは思う。
そこが良くて、そこが悪いところでもあるけど。
これは、V3全体に言えることだと思うけど、みんな少しは周りに相談しなよ……と思う。
とはいえ、過去作には、相談したことで殺されちゃうやつや、
クソみたいな(褒め言葉)相談相手もいるので、
これもやはりなんとも言えない。

彼女の研究教室を見ると、暗殺者というよりは鉄砲玉みたいな感じがする。
あのフード付のコートみたいなのから考えるとアサシンクリードみたいな感じなのかな?

 

■星 竜馬
一章の自己犠牲は初回特典もあるので、いいと思ったが、二章の行為はどうかと思う。
自暴自棄になっていたとはいえ、一人残して全滅の可能性があるのに、わざと死ぬのはダメでしょう。

 

■百田 解斗
全体的には悪くないけど、四章の意固地な感じが嫌だった。
後々、嫉妬による行動だと釈明していたけど、う~ん。
ゴン太と最原を同じだけ信頼し、悩んだ末での行動ならまだしも、
ただただ王馬に乗せられただけって感じだし。

 

■夢野 秘密子
女の子では入間の次に好き。裁判でも面白いし、四章以降は普段も面白い。
キーボに酷いこと言うしw
一番好きなのは六章で天海の部屋で何も見つけられなかったときの、なんとも言えない表情のシーン。

 

■夜長 アンジー
シンミツイベントは可愛いけど、それ以外は特に何もなし。
キャラとしては、ある意味一番可哀想かも知れない。
三章の裁判では一応、一番重要な議題ってことになっていたけど、
意味もなく殺されて、最終的に転子に見せ場を持っていかれた感じになってたし……。
天海みたいに、謎を残したわけでもないし……。

【ネタバレ】ニューダンガンロンパV3の時代の考察

V3の時代(外の世界)は推察するための要素はあるのですが
どの要素を取るかでかなりちぐはぐになるので分かりません。
分かりませんが、分からないなりに考えてみたいと思います。

■時代を推察するための要素は?

細かいものを含めるとかなりありますが
今回は
ダンガンロンパの53作目
②キーボや思い出しライト、入間の発明品
③一章で使い捨てカメラのトリックが出てくる
④白銀のアニメの知識
この四つに絞って考えて見たいと思います。

■①ダンガンロンパの53作目

六章ででモノクマが、
ダンガンロンパはゲームから始まりアニメを経て……」
と言っています。つまりアニメ放送までは現実と同じ時間軸で進んでいたことが想定されます。

ちなみにOP映像でも出てくる作品のみで考えると、
ダンガンロンパ2010年
スーパーダンガンロンパ 2012年
絶対絶望少女 2014年
ダンガンロンパ3(アニメ) 2016年
です。

大体2年おきでしょうか。このペースをそのまま適用すると、
V3は2116年になります。
……さすがにこれはないでしょう。

なので、
・タイトルのロゴが出てきた10まではゲームで、1年おきに発売された。
・それ以降は形を変えアニメやドラマ。果てはリアルデスゲームになった。媒体が複数になり発表スピードが上がり、一年に10作品ほど発表された。
と、仮定し、少し速めてみたいと思います。

[04]2017
[05]2018
[06]2019
[07]2020
[08]2021
[09]2022
[10]2023
[11]~[20]2024
[21]~[40]2026
[41]~[52]2027
[53]2028年

かなり無理のある仮定ですが、一旦2028年を①の結論としたいと思います。

■②キーボやエグイサル、思い出しライト、入間の発明品

はっきり言って、ここらへんはいつ実現可能になるかまったく予想できません。
一応、2018年段階でも基礎技術ぐらいはありますが……なんとも。
シンギュラリティ(技術特異点)が起きるとされている2045年あたりだと割と説得力がありそうですが……。
というわけで、一応2045年としたいと思います。
(それから、少し時間がかかるでしょうが、そこから先は想像が不可能な領域なので。)

■③使い捨てカメラ

この使い捨てカメラは倉庫にあり、首謀者が用意したものです。
つまり、コロシアイを見ている外の世界の視聴者は使い捨てカメラを見ても違和感を覚えない時代にいることになります。
現在(2018年)でも使い捨てカメラが創作物に出てくると違和感を覚える人はいると思います。
ちなみに写ルンですが発売されたのは1986年です。
こういった発明物がどれくらいで廃れるのかというデータはないのでなんとも言えないですが……。
現在でも違和感がある人がいるということを考慮すると、使い捨てカメラがトリックとして通るのは、あと10年くらいではないでしょうか。
なので、2028年より前としたいと思います。

■④白銀のアニメの知識

これは考察の要素として入れていいのか悪いのか微妙なラインですが……
白銀のアニメの知識は大体2016年あたりで止まっています。
ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期が発売されたのが2017年初頭なので当たり前っちゃ当たり前ですが)
セーラームーンのような古典的ネタはともかくとして、2015,2016年に流行ったネタがいつまで通じるのかという問題があります。
精々5年くらいでしょうか……?
2021年より前としたいと思います。

■ここまでの結論
①2028年
2045年
③2028年より前
④2021年より前
と推察しましたが、どれも説得力がなく、なんとも言えません。
なんとなく2020年代かなーという気はしますが……。

ここで、一旦考え方を変え、
V3の世界におけるダンガンロンパのコンテンツ力という面から考えてみたいと思います。

ダンガンロンパの人気はどれくらい?

ずばっといきます。
・53作出ている。
ダンガンロンパの世界に参加したい人間がいる。(少なくともオーディションに参加する人間がいる描写に説得力がある)
この二つの条件を満たすような、現実世界の類似コンテンツはガンダムでしょう。

さすがにアニメ作品は53もありませんが、派生作品を含めればゆうに53はあります。
死ぬかも知れないがモビルスーツを操縦できるならば、操縦してみたい……という人もいるでしょう。

更に、今の若いガンダムを知っている世代でもほぼアムロやシャアを知っています。
これは、江ノ島盾子や苗木誠が53作目に出てきても陳腐化していないことに通じていると思います。

ガンダムの20周年時(2000年)には、それなりの大きさのコンテンツが53を越えていたと思われるので、
2010+20の2030年をここでの結論にしたいと思います。

■結論

2030年くらいの話ではないかな?
ということで……説得力がまったくないですが。
一応、ここで、考察したことをほかの考察の材料にしたいと思います。
もし、作中にもっと説得力のある要素があったなら、コメントで教えて頂けると嬉しいです。

 

■追記

六章裁判の外の世界のコメントで
「3年待った」的なものがありますね……
52→53で3年経つようなペースだと、2100年代になっちゃいそうですね。
その時代に使い捨てカメラやあのアニメの知識はどうなんだろう……?
あと、天海君は3年どうしてたのだろう……?

【ネタバレ】王馬小吉についての考察

王馬小吉のことを四章、五章中心に考察したいと思います。
モノクマに提案したクロ同着のルールと最原へのアプローチを考えると、
彼の計画が色々と失敗していたのではないかな?と思います。

 

■そもそも、王馬は……


DICEという、人を殺さない、笑える愉快な犯罪をする少人数の秘密結社の総統です。
少なくとも二章からはそういう人間のはず。
なぜなら、モノクマーズパッドの動機ビデオを見て、
その記憶を思い出しているからです。(二章の東条と同じ状態)

だから彼は、ほかの人の死にたくないからコロシアイが嫌だ、という以上に、
自分の信念から外れた。『人が死ぬ』『笑えない』コロシアイに嫌悪感を抱いていたと思われます。

 

■王馬とほかの参加者の関係


大抵の参加者(というか全員?)は王馬のことを嘘ばかりつき、和を乱す、厄介な存在として見ています。
王馬としても、立ち回り上、そう見られることを望んでいたでしょう。

しかし、王馬には気に入っている参加者と嫌っている参加者がいたと思われます。


まず、気に入っていた参加者ですが、
・ゴン太
・入間
の二人でしょう。


そのほかにもどちらかと言えば気に入っていたであろう参加者はいそうですが、特にこの二人がお気に入りだったと思われます。

 

・ゴン太
彼は三章で生徒会問題が起きているとき以外は大体ゴン太と一緒にいました。
周りの人間は王馬が御しやすいゴン太を従えていると感じていたようですが、それは違うと思います。

何故なら、彼だけは最初から、ゴン太の言っていた
「中庭の『いは うま』の落書き」と
「勘違いかも知れない小さな虫」
を信じていたからです。

ほかの参加者はゴン太の気のせいと片付けて、まともに取り合いませんでしたが、彼だけは、
・後々の伏線に利用できるかもと落書きに文字を書き足し、
・入間に小さな虫を吸い込む機械を作るよう命じていました。

王馬は「バカだなーゴン太は」と言いつつ、ほかの誰よりもゴン太の発言を信用していたのです。

 

・入間
王馬が彼女を気に入っていた根拠は数々の発明品を作ってもらっていたことです。
この関係は王馬からの一方的な好意ではなく、相互的な信頼であったと思われます。

入間は一章で使い捨てカメラの改造を赤松と最原に頼まれたとき、
二人が土下座したところで、ようやく、仕方ないという感じで作りました。
つまり、基本的には人に頼まれたものを作らない人間なわけです。

しかし、王馬の依頼した発明品はいくつも作っています。
『エレクトハンマー』『エレクトボム』『エグイサルのリモコン』『虫を吸う機械』
これらは確実に一章のカメラより大変なものでしょう。

入間が王馬に脅されていたということはないでしょう。
もし脅されていたのならば、彼女が王馬を殺そうとしたとき脅されていた恨みをぶちまけるはずです。
しかし、彼女はほとんど謝るように言い訳をしながら王馬を殺そうとしました。

これらのことからでも、ある程度の信頼があることはうかがえますが、
・入間が四章で椅子を運ぶの王馬に手伝ってもらっている。(体が小さく力もなさそうな王馬にわざわざ)
・五章の回想で入間は裏切られて…殺されると王馬に弱音を吐いている。(入間は弱気になったりはするが、他の相手に弱音を吐いてはいない)
・入間は、モノクマとは戦わないが勝てたときは「すぐに助けに来てね?」と頼んでいる。
(王馬が助けに来てくれると思っている。ほかの参加者なら、間違いなく王馬にこんなことは言わない)

これらの描写からも王馬と入間の間には信頼関係があったと思われます。

もっとも、その信頼関係のせいで四章で王馬は入間に狙われてしまうのですが。
(入間の呼び出せるような人間が王馬しかいなかったから)

この二人が王馬の気に入っていただろう参加者です。

キーボと夢野はいじってはいましたが面白いからいじっていただけかと思われます。
ただ、夢野に関しては三章の最後で助けていたので少し気に掛けていたのかも。
もしかすると、この四人はDICEにいたら楽しそうだなと思っていたのかもしれません。
愉快な悪の秘密結社にバカな力持ち、変なものばっかり作る発明家、マジシャン、ポンコツロボットはぴったりなので。


次に嫌いな人間ですが、これは確実に春川でしょう。
王馬は、春川のことをしばしば、ほとんど糾弾のように人殺しと呼び掛けます。
ほかの参加者への悪口は割とすぐに言い返せるものが多いのに、春川に対してだけは絶対に否定できない悪口だけを言います。
多分、人殺しを生業としている彼女は、王馬から見ればコロシアイを仕組んでいるやつと同じくらい嫌悪すべき存在だったのではないでしょうか?
結局、春川のヘイトを貯めまくったせいで五章で彼は失敗してしまうわけですが。


■四章の王馬(捜査裁判以外)


上記の人間関係の考察を踏まえると王馬にとっての四章は地獄だったと思われます。
自分が信頼していた人間を二人も失ってしまったので。

まず、入間とは信頼関係を築いていたからこそ、殺しのターゲットにされてしまいます。
入間が呼び出せるような人間が王馬しかいなかったからです。

入間の殺人計画を先んじて理解した王馬には生き残る為に協力者が必要でした。
そうなったとき、動かせるor動いてくれそうな人間はゴン太しかいません。
つまり、王馬は信頼する二人を犠牲にしない限り四章を生き残れなかったのです。

もちろん、新世界プログラムに行かないという選択肢はあったでしょうが、
電子機器を止めるエレクトハンマーや、エグイサルを操れるリモコンを作れる入間を放置することはできないでしょう。
彼女の犯行計画が分かっている新世界プログラムでケリを付けないと、とんでもない発明品で、どう足掻いても対応不能な殺人計画を作られてしまう可能性が高かったので。

ここで入間に殺されては、コロシアイを止められないので、王馬は二人を犠牲にするしかなかったのでしょう。


■四章の王馬(捜査裁判)


四章捜査の段階で(正確には新世界プログラムから出るときから)彼は五章の計画の下準備を始めます、詳しくは五章のところで記述します。

事件の全容を知っている王馬は四章の裁判を自分の思い通り進ませようとしたが――失敗したと思われます。

失敗の要因は二つ。
・ゴン太が新世界プログラム内の記憶を失ってしまった。
・最原が嘘をついてまで裁判の主導権を握ろうとした。
です。

王馬がどのように裁判を進めようとしていたか……はっきりとは分かりませんが、ヒントはあります。

彼はこの裁判中に
「中には、人を傷つけない為の嘘や、人に優しくしたい為の嘘だってあるのに…嘘ってわかっただけで、そのすべてを否定するなんて…みんな、嘘に騙されるのが下手だよねー!」
と言いました。

多分、彼はこの裁判で人を傷つけない為の嘘=彼からもらえるスキルでもある『優しい嘘』をつくつもりだったんでしょう。

王馬の考えていた流れを予測すると……、

①百田と最原を引き離し、最原が事件解決に必要な情報を確実に得られるよう誘導(相棒を名乗り出て最原を誘導)。

②現実世界の捜査で必要な情報を最原に与えたあとは、事件解決に絶対必要な新世界プログラムのルールが確実に判明するように、春川とモノタロウの新世界プログラムの解析を監視。

③裁判になったら少しずつ、最原に推理をさせる。

④ゴン太がボロを出したら、それを嘘や話術を駆使して、かばいつつも、ゴン太が怪しいとほかの参加者に思わせる。

⑤ゴン太の容疑がほぼ確定した段階で、ゴン太が殺されそうになったところを助けてくれた、助けてくれたゴン太を売るわけにはいかないから、嘘をついて庇っていたと自白する。
この際、ゴン太はクロ回避(自分以外全滅)を目指すために、なんらかの反論をするが、世界が滅びていたため、ほかの参加者を絶望させないために殺した方がいいと思った、という本当の動機は語れないので、王馬との共犯関係を結んだ話ができず、周囲は優しいゴン太が王馬を助けたという流れを信じる。

⑥ある意味、円満な状況で参加者たちがゴン太クロを確定し、王馬は自分の印象を若干上げた状態で五章に進む。

こんな感じの流れだったんじゃないでしょうか?
もちろん、入間とゴン太が死んでいる時点で四章開始前の彼の望んだ展開ではなかったでしょうが……。

一応、裁判の展開には王馬なりの予防線が張ってあって、
彼は裁判の前にクロが同数だった場合、クロがオシオキされるという言質をモノクマから取ってあります。
万が一裁判が上手く進まなかったとしても、『優しい嘘』で最低三人は騙して同数に持っていけると踏んでいたのでしょう。
事件の真相を知っている彼にとって、クロ同数はまったく無駄なルールなので、この言質も上記の王馬が望んでいた裁判展開の推理の補強材料になると思います。

しかし、この流れは、
・ゴン太が新世界プログラム内の記憶を失ってしまった。
・最原が嘘をついてまで裁判の主導権を握ろうとした。
ことによって失敗します。

まず、ゴン太が新世界プログラムでの記憶を失ってしまったせいで「わからない」しか言わなくなり、
ほかの参加者がまったくゴン太を疑わなくなってしまいました。
王馬のほかの参加者の信頼度から考えると、ゴン太自身がボロを出さないと、議論の流れを犯人ゴン太説に向けるには無理です。

更に、途中で最原が嘘をついて、無理矢理議論の主導権を握ります。(王馬がサロンにいなかったと証言する部分)
明らかに最原の発言が嘘だと分かっている白銀ですら最原を信じると言い出します。
これをされると王馬はどうしようもありません。裁判は最原のやりたい放題です。

これでは、裁判でほかの参加者たちが間違ったクロを指摘しなかったとしても、
ゴン太が自分を守ってくれたという『優しい嘘』をつくのは不可能なので、
王馬は投げやりになり、全部自白して裁判を終わらせることにしたのでしょう。

裁判終了後、王馬はゴン太と一緒に死ぬと言っていました。
これは本心でしょう。
たとえコロシアイを台無しにできても、ある意味信頼していた入間やゴン太を助けられないので。
ここに関しては証拠となるような台詞等はありませんが、
オシオキを邪魔したときの結末(ダンガンロンパ2で辺古山のオシオキに乱入した九頭龍も殺されかけたように)を想像できないような人間ではないと思いますので、
安易なことは言わないと思います。

 

■五章

 

五章もまた王馬の予想通りに進まなかった章です。
四章で王馬は新世界プログラムを出るときから最原を相棒にしたいと言っていました。

「キミって使えるよね。」
「だから、バカな百田ちゃんなんかと絡んでないで、オレの友達になりなよ。」
「オレなら…キミの力になれるはずだよ?」
「キミがみんなを救えるように、オレが力を貸してあげる。」
「ほら、みんなを救いたいんでしょ?」
「にしし…振られちゃったか。でも、そう簡単には諦めないよ。」
「オレって…好きになった人は、首を絞めてでも振り向かせちゃうタイプなんだよね。」

どうして、これで説得できると思ったんだ? という台詞ではありますが……。それはさておき。
王馬の、最原を相棒にしたいというのは言っているだけで、ストーリーにまったく絡んでいません。
つまり、最原を仲間にしたかったけど、できなくなった理由があると思われます。
それは、五章のトリックに絡めて考えると見えてきます。

多分、王馬は五章での共犯者を最原にしたかったのでしょう。

もし、王馬が百田ではなく最原を五章での協力者にできていたら、彼の作戦は高確率で成功していたでしょう。
キーボ、夢野、春川、百田、白銀で五章の裁判を乗り切れないだろうし。
最原なら、ほかの参加者を騙すことも難しくなかったでしょうし。

ちなみに、四章時点では五章で行われたトリックの詳細は決まっていなかったと思います。
サイバーな中庭が開放されていなかったので。
ただ、被害者不明、犯人不明、などの状況を作ろうとは思っていたと思います。

しかし、王馬は四章での裁判で失敗し印象が悪くなり、最原を自発的な共犯者にすることがほぼ絶望的になりました。(説得が下手すぎるってのもありますが……)

それでも、最原を脅して共犯者にすることはまだ可能でした。

「オレって…好きになった人は、首を絞めてでも振り向かせちゃうタイプなんだよね。」

実際、脅して共犯者にすることを考えていたと思われる台詞もあります。

しかし、四章の裁判後に王馬の判断を狂わせることが、また起きます。
百田の病気が確定的になってしまったのです。

王馬の五章での共犯者計画の穴は、裁判で犯行の全容を解明できなくても、割と高い確率で真犯人に辿り付いてしまうことです。
どんな計画を練ったところで、1/7で真犯人が当たってしまいます。
更に、絶対に犯行が不可能な人間がいたりすると、真犯人を当てられる確率が高くなります。
つまり、そのぐらいの可能性で共犯者がクロになってオシオキされるだけで終わってしまう計画だったのです。
ゴン太と入間を犠牲にしてしまった以上、王馬はそれでもやり遂げる心づもりだったと思いますが……。

ここで、百田の病気が効いてきます。
彼は百田の病気が分かったことで最原を共犯者にすることを完全に諦め、百田を共犯者にすることにしたと思われます。
これならば、真犯人を当てられても、いずれ死ぬ百田が犠牲になるだけなので。
もちろん、彼の計画が成功する確率は下がりますが、失敗したときのダメージを減らせるならと、百田を共犯者にしたのではないでしょうか?

ただ、ほかの参加者が病気だった場合はさすがに共犯者に選ばなかったと思います。
夢野は失敗しそうだし、春川は懐柔できなさそうだし、白銀は未知数。
(キーボはそもそも病気にならない)
宇宙飛行士の訓練生で基礎スペックが高そうな百田だったからこそ、というのはあると思います。

しかし、ヘイトを貯めまくっていた春川が好いていた百田を共犯者にしてしまったことで、
彼は五章での作戦も失敗してしまいます。

仲良くした相手には殺されかけ、仲良くしなかった相手にも殺されかける。
自業自得な面が大きいとはいえ、若干可哀想な気もします。


■さいごに


結局、王馬は四章でも五章でも、色々と上手くいかず、失敗してしまいましたが、
失敗したからこそ、六章で生き残った最原たちがコロシアイを終わらせられたのだと思います。

王馬がコロシアイの裏をかいたところで、外の世界は「へーそうだんったんだ、面白い!」で終わらせていたでしょうし。

 

■補足


コメントを頂いたので何点か追加で意見を……

・いいこではないと思います。しかし、情に厚いとは思います。
動機ビデオの内容を見る限り、酷い目に遭っている仲間のために殺人を犯して外に出る可能性が濃厚なぐらいには情に厚いです。
V3の動機ビデオは黒幕が植え付けた記憶に合わせて作られているので、東条と同じぐらいには王馬も揺さぶられていたと思います。(無印よりもクリティカル)
王馬には殺人を嫌うという信条があり、東条は依頼のためには手段を選ばないという方向性があったため、二人の行動に差が出たのでしょう。
ただ、笑えるとはいえ、犯罪組織の長なので悪い奴です。

・首謀者を乗っ取ろうとはしていなかったと思います。
王馬は4章で最原を誘っている時点ですでに、首謀者のその先である視聴者を意識して行動しています(と私は推測しています、上記の会話参照)。
被害者不明、犯人不明なだけでは、首謀者は困りません。
首謀者は視聴者にアンフェアな行動を指摘されることに困るのです。
ですので、王馬は4章のあの時点から首謀者のアンフェアさを視聴者に見せることを目的に行動していたと思われます。

【ネタバレ】思い出しライトの考察

正直、思い出しライトは、作中でも屈指のオーバーテクノロジーで、割と何でもアリな部分なんで、深く考えても仕方ない気もするけど……
作中の描写や台詞をそのまま信じると、色々と矛盾点があるので、考えてみたいと思います。


■思い出しライトは記憶を植え付ける道具なのか?


六章で、最原が思い出しライトは記憶を植え付ける道具だと推理し、
モノクマも思い出しライトは記憶喪失を治す道具ではなく、記憶を植え付ける道具だと補足していました。

そのあとのモノクマの説明では、思い出しライトの光は情報を光に変換したもので
その光が脳に直接情報を届けることでデジェヴュのようなものを引き起こす……
と言っていましたが、これは以下の三つの描写と矛盾しています。

モノクマーズパッドの動機ビデオに思い出しライトの機能があった。
②首謀者である白銀つむぎも思い出しライトを何回も浴びている。
③思い出しライトのセットアップが選択式で『思い出したい記憶の項目を選んで下さい。』と出てくる。

ここから上記の三つに対し、一つずつ考察していきます。

モノクマーズパッド動機ビデオに思い出しライトの機能があった。

動機ビデオに思い出しライトの機能があるのは間違いなく真実でしょう。
2章の裁判後、東条が動機ビデオを見て思い出したと言っているので。

もし、東条が動機ビデオの内容を思い出さなかったとすれば、彼女は影の総理大臣として働いていたという内容を信じないはず。
自分が有能だということを自覚していたとしても、さすがにビデオの内容は突拍子もないので事実とは思わないでしょう。
なので、動機ビデオに思い出しライトの機能があったのは間違いないと思われます。

しかし、そこで矛盾が出てきます。
モノクマの言うとおりに、思い出しライトが記憶を植え付ける道具なのだとしたら、
ほかの人間が動機ビデオを見たときもなんらかの影響を受けるはずだからです。
デジャヴュが起きるなり、謎の情報により混乱するなり……
しかし、そういった描写はまったくない。

そこから導き出される考えとしては……

・動機ビデオは本人しか影響しないタイプの思い出しライトで、懐中電灯型は全員に影響のあるタイプの思い出しライトであった。
・動機ビデオは思い出させる思い出しライトで、懐中電灯型は記憶を植え付ける思い出しライトであった。
・あまりにも矛盾している記憶は整合性がないので植え付けられない。
モノクマの発言が嘘で思い出しライトは、本当に思い出させるライトだった。

の四つぐらいでしょうか?
この四つの推論には結論付けせず、次に行きます。

②首謀者である白銀つむぎも思い出しライトを何回も浴びている。

もし、思い出しライトが記憶を植え付ける道具だとしたら、特に白銀つむぎは大変なことになっているはず。
全てのことを覚えている首謀者である彼女は、自分の中に相反する記憶が共存している状態になってしまうので大混乱でしょう。

後述する思い出しライトセットアップの項目と少し被りますが、
思い出しライトは記憶の整合性に関しては、ある程度留意しています。
思い出しライトを作るときにほかの記憶にあわせて自動調整したりしているので。

これを考えると、先に挙げた四つの推論の内

・動機ビデオは本人しか影響しないタイプの思い出しライトで、懐中電灯型は全員に影響のあるタイプの思い出しライトであった。

これは消えると思います。
15人にのみ影響のある光……というのは若干アンフェアでしょう。

・目を瞑っていれば回避できる。
・白銀の眼鏡に思い出しライトを防ぐ機能が付いている。

などの可能性は考えられますが(さすがにちょっと無理がある?)
一旦除外したいと思います。さすがに、なんでもアリになっちゃうので。

③思い出しライトのセットアップが選択式で『思い出したい記憶の項目を選んで下さい。』と出てくる。

最後は思い出しライトのセットアップ画面からの情報です。
なぜか、思い出しライトの作成画面では、思い出させる記憶が選択式です。
しかも、選べる項目は数個と非常に少ない。

これに理由付けするならば、

ゲームマスター(セットアップ時の首謀者の表記)が長々と教室にいるわけにはいかないので、ぱぱっと作れるように選択式だった。
・思い出させる記憶には制限がある。

のどちらかでしょうか?

続いて、『思い出したい記憶の項目を選んで下さい。』というセットアップのメッセージです。

本来、首謀者(ゲームマスター)しか使えない装置で『思い出したい記憶』という言葉が出てくるのは不自然です。
まず『思い出させたい記憶』であるべきだし、記憶を植え付ける装置なのだから、植え付けたい記憶と表現してもいいはずです。
こうなってくると、思い出しライト=記憶を植え付ける道具、というのが怪しくなってきます。

もっとも、6章の裁判で最原が思い出しライトを記憶を植え付ける装置だと推理したあとも、
白銀やモノクマ――首謀者側は思い出しライトの効果を『植え付ける』だけでなく『思い出す』や『生み出す』と表現しているときもあります。なので、これは単に表記がブレているだけの可能性もあります。
更にいえば、次の裁判で明らかにされる事柄なので、ここでは(ゲーム的に)伏せていただけかもしれません。

上に挙げた①②③のことから、思い出しライトがその場で記憶を植え付ける道具であるというこには疑問が残ります。
この三つの矛盾をクリアしようとすると、以下のようになると思います。

■結論

思い出しライトは植え付けていおいた記憶を、自由に選択して思い出させることができる装置なのでは?

こうすると大体の問題が解決します。

①動機ビデオが本人にしか作用しない。
 →植え付けられてない記憶は思い出せない。
②白銀つむぎも浴びている
 →植え付けられてない記憶は思い出せない。
③思い出しライトのセットアップについて。
 →選べる項目が少ないのは、植え付けて(封印して)ある記憶がそれだけだから。
 →思い出したいという表記は、本当に思い出させているから。
  →(状況次第ではゲームマスター以外の参加者にも使わせる予定があった……?)

問題はモノクマの発言です。

「最原クンが言った通りなんだよ。“思い出しライト”って記憶喪失を治す道具じゃなくて…」
「記憶を植え付ける道具なんだ。」
「ちなみに、あのライトから出る光はただの光じゃなくて、情報を光に変換した情報光線で…」
「それが直接的に脳に情報を届ける事によって、デジャヴュのような現象を引き起こすんだ。」

ここからは言葉の解釈の問題になってくると思います。

思い出しライトが記憶を植え付ける道具。
 →ここで指している思い出しライトは懐中電灯だけではなく、
  記憶に関する装置すべての総称としてのことではないか?

 →現にモノクマーズパッドの動機ビデオも、思い出しライトである。

情報光線が直接的に脳に情報を届け、デジャヴュのような現象を引き起こす。
 →『デジャヴュ』――既視感。つまり、過去に見たことのあるような気のする光景。
 →デジャヴュを起こすには過去に一度、同じ光景を経験していないとならない。
 →情報光線で再度経験するからこそ、デジャヴュと表現したのでは?

こう解釈すれば、モノクマの発言の矛盾も解消されると思います。

若干、牽強付会ですが、思い出しライトは
『植え付けたあとに封印しておいた記憶を思い出させる装置』
と、考察したいと思います。
後々この考察を元に、ほかのことも考察してみます。