【ネタバレ】ニューダンガンロンパV3考察

ニューダンガンロンパV3を今更やったので考察します。

【ネタバレ】白銀つむぎの考察

■キャラクターとしての感想


白銀つむぎは首謀者なのでマザーモノクマからほかの人の行動を間接的に知ることができたとはいえ、最初から最後まできちんとコロシアイに参加しているところが好きです。

目立たず、裁判で活躍せず、ヘイトを溜めず、多数派に属するものの特定の人間と仲良くしすぎないというのが52作で培われた生き残るコツなのでしょう。

しかし、それでも普通に危険はあったと思います。特に三章とか。

というか、一章で誰かを適当に殺して初回特典で外に出た振りをして隠れて首謀者やっていてもよかったのに……。

六章での命を懸けているというのは嘘偽りない言葉だったのでしょう。自分が死ぬルートを普通に選んでますし。

また、六章で最原の絆のチカラが白銀でも上昇するところを見ると、
首謀者と暴かれるまでは、コロシアイの一参加者として参加していたのだと思います。
そういう、ほとんど頭おかしいところも好きです。

 

■白銀つむぎの立場は?


一応、53作目については彼女が、世界観、設定、キャラクター、オシオキなんかを作っていたみたいですが、

モノクマ
「世界のみんなが求めるからボクはこれを作ったんだ! 今更、偽善者面なんて許さないよ!」
と言っているので、白銀は設定等を作っただけで(多分、53作目のみかな?)、
リアルフィクションという舞台はモノクマである誰かが作っていたと思われます。
そうなると、やはり白銀は思い出しライトセットアップの表記通りにゲームマスターだったのでしょう。

なぜなら、白銀にできることが、
・思い出しライトの作成
モノクマの作成
・マザーモノクマから情報の入手
の三つだからです。

・マザーモノクマから情報の入手
についてはコロシアイにおけるアドバンテージになりますが、
・思い出しライトの作成
モノクマの作成
は、やらなきゃならないこと(労力)で、アドバンテージではありません。
コロシアイが自分に有利になるような記憶は、
思い出しライトのセットアップが選択式のため植え付けられないし、
モノクマを補充しても、モノクマは自分を助けてはくれないからです。

ここでWikipediaテーブルトークRPGにおけるゲームマスターを引用します。

テーブルトークRPGTRPG)におけるゲームマスターは、参加者の1人でありながら、「ゲームの進行を取り仕切る」という映画の総監督および審判のような役回りになる。一般的にゲームマスターは、ゲームの筋道(シナリオ)を用意し、プレイヤーをまとめつつ、ルールを運用し、ゲームを展開する。

ゲームの筋道(シナリオ)の用意とは、当日のゲームプレイにおいてプレイヤーキャラクターが体験する物語・舞台・遭遇などを包括的にまとめた資料を準備することである。シナリオは市販されているものを使うこともできるが、ゲームマスターによる自作も可能である。むしろ、シナリオを自由に自作できることがテーブルトークRPGの特徴であるとも言える。

同じゲームの参加者であるプレイヤーと比較すると、「事前の準備」「ゲームの進行」「各プレイヤーへの配慮」等、その労力は大きい。このような問題を緩和する試みとして、ゲームマスターにはその労力に見合った報酬(多くの場合、プレイヤーとなった際に利用できる経験点)が与えられる、というシステムも日本には存在する(主としてF.E.A.R.の製品に見られる)。

また、ゲームマスターの進行手法(マスタリングと呼ぶ)は、上のように自己の裁量で行うところが多いため、個人差が大きい。

コロシアイの準備をして、筋道を考え、ゲームの進行という労力の対価として、
マザーモノクマから情報を得ていると考えると、まさにゲームマスターの立ち回りです。

ゲームマスターWikipediaの抜粋にもあるように参加者の一人です。
つまり、彼女は最後まで生き残りはしましたが、決して殺されることのない聖域ではなかったのでしょう。

だからこそ、六章で最原の絆のチカラが上昇したのでしょう。
首謀者や黒幕の間に絆があったりするのはなんか変ですし。

そうすると、白銀が天海を殺したことについて、少し見方が変わってくると思います。
あれは赤松の殺害計画の補完というよりは、
自分が生き残るための行動だったんじゃないでしょうか?

この行動に関して、江ノ島コスプレの白銀が
「あぁ、それに関しては自分でも失敗したと思ってる。ほんと、ゴメンね。」
と言っています。
しかし、どう失敗したかは語っていません。
話の流れ的にはコロシアイのルールを遵守しない行動だったので、失敗だったと取れますが、
放置したら全滅という状況において、コロシアイを進めるのは、
ゲームマスターとしての行動としては間違っているとは思えません。

続きまして、殺害のときのことを考えてみますと、
白銀が天海殺害にかけられる時間は、カメラのインターバルである三十秒でした。
必要なのは、砲丸を振り下ろす時間+生存者特典を奪う時間+図書室出入りの時間
なので、間に合わなくはないでしょう。

しかし、これは赤松の計画の成否を確かめてから殺すには時間不足です。
砲丸の落下を見届けてから(成否の状況をマザーモノクマに聞いてから)
殺しに行くとカメラのインターバル的に間に合いません。

つまり、赤松の計画を補完するというより、天海を殺す方に若干傾いているように見えます。
何より、あの時点ではまだタイムリミットまで一時間ありました。
ゲームマスターとして行動するのは時期尚早でしょう。
一応、生存者特典を奪うためとりあえず行ったという可能性はありますが、
生存者特典の情報はそこまで有用ではなく、いずれ分かる情報なので、可能性は低いでしょう。
何よりあの情報は天海が共有することを前提として渡されていたわけですし。

これらのことから天海の殺害は、やはり自分が生き残るための行動だったと思われます。
ただ、一方的に有利な首謀者ではないとすると、問題になってくるのが白銀の目的です。

 

■白銀の目的・目標は?


白銀の目的は首謀者と指摘されて負けること以外には考えられません。

死体やマジックショーの残骸の処理はできるのに、砲丸と生存者特典を処理していなかったり、希望ヶ峰学園について思い出す記憶を史実とずらしていたりと、
どう考えても、首謀者であることを暴かれることを前提としているとしか思えません。
6章前半でまったく反論しなかったのも、首謀者指摘に展開を持っていくためでしょう。

更に、今回はキーボがいます。アンケートで動く超高校級の希望ロボットです。
これは最早絶対に負けようとしているとしか思えません。

一応、外の世界の台詞から判断すると、過去作には、希望ルートや絶望ルートのようなものがあったようですが、
今回に限っては希望ルートしか考えていなかったように思えます。
外の世界も希望ルートの方が好きそうでしたし。

これらのことから考えると、最後に首謀者としてクロと指摘されて、
次回の首謀者になることが目的だったのでしょう。
ほかの参加者は最後の二人になるかクロで勝つかの二つ勝利ルートがあるのに、
白銀は一つしか勝利ルートがなく、更に最終局面でしか機能しない勝利ルートなので、
他の参加者より、実はかなり不利だったのではないかなと思います。

それでも参加したのはダンガンロンパを愛していたからなのでしょう。
普通、作品を愛しているのなら、生きて長くその作品を楽しみたいはずなのに、
彼女は、命を捨ててでも貢献したいと思えるほどにダンガンロンパを愛していたのでしょう。
重い。


■白銀つむぎはコスプレイヤー? 模倣犯


彼女は最後の最後に模倣犯コスプレイヤー)という表現を使っていますが、
これに関しては、どちらも正しいけど、どちらかと言えば、模倣犯寄りだと思っています。

「ほら、最近はキャラクターになりきる事よりも、コスプレする自分を前にだしてくるレイヤーが多くて。」
「そもそも、コスプレって、本来はフィクション作品でやるものだからね! まぁ、最近はあいまいになっちゃってるけど、わたしは本当にそういうのが許せなくって…許せないあまりに生理的に無理なんだよ。リアルの変装をすると、キモいブツブツが出ちゃうの。あ、覚えててくれたんだね。うん、あれは嘘じゃなくて本当だよ。」
「わたしは世界そのものをコスプレする事ができるんだよ。」
「世界を丸ごとダンガンロンパにコスプレさせてたんすー!」
「あなたのオーディションテープを見た時に、ふと閃いたんだよね。誰よりも弱い“超高校級の探偵”…それが成長していくのもなかなか面白いかもって。」

オリジナルキャラクターを出しちゃうコスプレイヤーというのがあり得ないと思います。
版権もののコスプレしているのに、そこにオリジナルキャラって「誰だよ!?」って話ですし。
世界をダンガンロンパにコスプレさせるというなら今回の設定ですと、
1・2・3・絶対絶望少女のキャラを16人集めてコロシアイさせるのが筋でしょう。
天海は一応、前作のキャラということになるでしょうが、残り15人オリジナルって……。
舞台設定しかあってません。
これは、ときどき白銀の口にしていたコスプレ論に反するでしょう。

実際にコスプレをしていたのでコスプレイヤーではあると思いますが、それはおまけで
やっぱり模倣犯なのでしょう。

もしかすると、コスプレイヤーの才能は他の参加者と同じくあとから手に入れたものなのかも。

 

江ノ島盾子の模倣? それともほかの模倣?


多分、ほかの模倣でしょう。
舞台設定や話の流れ的に類似点はありますが、模倣と言えるほどコピーの完成度は高くないと思います。
思い出しライトを使えばもっと、模倣できたはずなので。

それに、
「最後の最後に計画が失敗するっていう結末までしっかり“模倣”できたんだから…」
というところに引っ掛かります。
江ノ島盾子の最後は失敗といえば、失敗ですが……種類が違うと思うんですよね。
結局、AIとして生き残っていたわけだし。
それにやっぱり模倣なら絶望が希望に負ける展開でないと違うと思います。

ただ、江ノ島盾子の超高校級の分析力は相手の才能をコピーできるので、
今回の才能の記憶を植え付けるシステムやコスプレとちょっと似てるとは思います。

 

■その他


「このキャラは“嘘”だからさ!」
と言っていましたが、白銀のときは目にV3もないし、焦るとコスプレを忘れるので、
やはり、白銀というコスプレをしているということではないのでしょう。

 

ということで、ダンガンロンパV3の考察を終わりたいと思います。
考えただけで、結論という結論が出ているものは、ほとんどないですが、
何か確かなことが分かる作品ではないので……。
V3も面白かったなー。特に6章の再審。熱い。
もう、終わりなのかなー。